1837年、チャールズ・ルイス・ティファニーがニューヨークに創業。1886年、エンゲージリングのスタンダードスタイルである“ティファニーセッティング”を考案。ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すため、爪で持ち上げるデザインは当時の画期的発明だった。銀製品、テーブルウェア、レザー小物なども展開。1837年から使用されている箱のティファニー ブルーはアイコニックなブランドカラー。
ティファニーの歴史はさまざまなスターに彩られてきた。時代を予見した創業者と息子はビジネス界のスター。オードリー・ヘプバーンはティファニーを舞台にドラマを演じた銀幕のスター。そして伝説のスターデザイナーや現代のセレブたち……彼らとの蜜月から生まれたティファニーの軌跡を追う。
何度か移転を重ねたNY本店が、現在の5番街と57丁目の角に定まったのは1940年。戦争の混乱を経て、鮮やかに幕を開けたのは、映画スターやスターデザイナーたちが後押しする、ティファニーの新時代である。なかでも1961年の映画『ティファニーで朝食を』が与えたインパクトは大きい。本店を舞台にオードリー・ヘプバーンが繰り広げるドラマは、彼女の美しさとともにティファニーの魅力を広く世界に知らしめた。また1950年代より、ジーン・シュランバーゼーやエルサ・ペレッティなど、自らの名を掲げたスターデザイナーたちがティファニーで活躍。時のファーストレディ、ジャクリーン・ケネディ等、目利きの著名人はデザイン性の高い逸品に心酔してゆく。
2000年代に入ると、ヒット映画に続々とティファニーが登場。等身大のヒロインたちのおかげで、ティファニーのジュエリーはぐっと身近になる。例えば2001年『ブリジット・ジョーンズの日記』でレネー・ゼルウィガー演じるアラサー女子は、「オープンハート」を愛用。ケイト・ハドソン&アン・ハサウェイ主演の09年『ブライダル・ウォーズ』では、ティファニーの婚約指輪がストーリーのカギになった。一方、映画用に特別にジュエリーを制作して話題となったのが、13年『華麗なるギャツビー』。1920年代調の衣装とともに華やかな輝きをまとうキャリー・マリガンは多くの注目を集めた。
2013年、同社初の女性ディレクターとして、フランチェスカ・アムフィテアトロフが就任。「ティファニー T」を大ヒットさせ、シリーズは現在もアップデート中だ。デイリーな装いにぴったりで、価格帯も幅広いのが人気の秘密だろう。その一方で、ハイジュエリーにも熱い視線が注がれ、アワードではセレブ御用達。また2016年11月、毎年秋に発表される「マスターピース」のイベントが初めて東京で開催され、伝説の「イエローダイヤモンド」も来日する。またさらにドキュメンタリー映画『ティファニー NY五番街の秘密』も公開。スターに彩られた華麗なるティファニーの歴史は今、節目を迎え、未来へと続いていくようだ。